ドジっ子属性は女子でこそ輝くのだよ、おじさん。
◯概要
電車での移動中、会議中、病院など色々な場所でスマホのアラームが鳴ってしまうおっちょこちょいおじさん。意外と本人は気づかずに周りの人間だけがうるさく感じることが多い。また、本人が気付いたとしてもなぜかスマホは見つからない。
◯特徴
・午前と午後の設定を間違いがち。
・自分のアラーム音を忘れがち。
・起床時間バレがち。
・スマホをどこにしまったか忘れがち。
・音量MAX。
◯アラーム鳴らしおじさんに一言
ドジっ子属性は女子でこそ輝くのだよ、おじさん。
◯エピソード
しばらく前になるが、当時は関西で仕事をしていて実家のある関東には数ヶ月に一度帰る程度だった。お金がなかったので移動はもっぱら夜行バス。その日は久々の帰省を終えて、また関西へ戻るところだった。
ちょうど仕事に嫌気が差していたので、足取りは思うように進まない。正直もう行きたくなかった。新宿のコンビニで缶ビールを2本買い、22時頃の出発と同時に飲み始める。気が重い大移動の始まりだ。酔った勢いで寝てしまえば夜行バス独特の雰囲気の中でもぐっすり寝れると思ったし、やけ酒という意味もあった。酒には弱いので神奈川に入る前には寝ていたと思う。
・・・
・・・
何時間寝ただろうか。身体の痛みとこわばりから、もうだいぶ経っていたと判断できた。外はまだ暗い。確か到着は朝7時くらいだったと思うので、あと2〜3時間くらいかなぁなんて思いながらもう少し寝ていようと目を閉じた。すぐにまどろみが脳内に戻って来る。と、その時・・・
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
眠気を強烈に引き裂くような電子音が鳴り始めた。不意を付かれた自分はめちゃくちゃビックリした。補足すると、自分はHSPという刺激に敏感な特性持ちで、フクロウの鳴き声ですら眠れなくなるほど音に反応してしまう体質なのだ。
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
(これ、目覚ましアラームだ)
すぐに気付いたがこちらからはどうしようもない。本人が気付くのを待とう。
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
気づかねぇ。。。身を乗り出して音のする方を見てみると、腕を組んで寝ているおじさんがいた。
(え!?ウソだろ!?)
彼はイヤホンを付けていた。
(イヤホンからアラーム音の直撃を受けてまだ寝てられんのかよ!?どんな強メンタルだよ!)
と思っていたが、ふと違和感に気付いた。そう、スマホとイヤホンジャックがつながっていた場合、スマホ本体のスピーカーから音が出るはずがなかったからだ。
(じゃあそのイヤホンなんやねん!)
心の中ではエセ関西人が勢いよくツッコミを入れた。イヤホンの先を探してみると、座席に備え付けの簡易テーブルの上に置いてある小さな箱につながっていた。
・・・ポータブルラジオだった。
(ポオオオオタブルラジオ!今日びポータブルラジオて!)
心の中のエセ関西人はどんどんテンションがハイになっていく。そりゃそうだ、わざわざ平成の残り物みたいな機械使わなくてもスマホから聴けんじゃん、ラジオ。。。
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
「シャリラリラリラリラリラン!!♪」
お構いなく鳴り続けるアラームに、周りの人も起き始めた。まずい。夜行バスの社内は明らかに悪い雰囲気に染まってきた。しかし誰も注意できない。・・・と、その時。
・・・彼が起きた。
よかった。悪夢は終わるんだ。我々の安眠は戻って来るんだ。おじさんがアラームを止めさえすればすべてうまく行く。さあ、そのスマホの、あれ、スマホ・・・何ゴソゴソやってんの、、、?
(いやスマホ見つからんのかーい!!!)
心の中のエセ関西人が最高のツッコミを入れた。3段構えのボケに彼のテンションは最高潮だ。アラーム鳴らしおじさんはどうやら座席の奥と手荷物の間を探しているようだった。だがまだ見つからない。
(ドジっ子か!!)
ツッコミしながらひっぱたきたい気分だった。頼むよ早く見つかってくれ。。。
ようやくスマホを見つけたおじさんは、アラームを止めてまたすぐに寝始めた。こっちは強制的に起こされた上に心の中のエセ関西人が騒がしくてもう眠れない。かくして寝不足のまま仕事先へ向かうのであった。
夜行バスでの大移動はとんでもないドジっ子おじさんによって忘れられない思い出となった。心の中ではいつの間にか冷静な関東人に切り替わりこう言うのが聞こえた。
「ドジっ子属性は女子でこそ輝くのだよ、おじさん。」
今週のお題「大移動」