気が散ってしょうがないのよ・・・
◯概要
ため息、ひとり言、せき払い、食べかすのシーハーやシャーペンカチカチまであらゆる雑音をまき散らす人間楽器。音が一つ一つ鳴るたびにこっちのストレスが蓄積される。
◯特徴
・たまに口の中から「キュっち」みたいな音がする。
・気がきかない。
・空気読めない。
・清潔感がない。
・男臭い。
◯雑音おじさんに一言
虫の方がまだいい音出すよな。。。
◯エピソード
このブログのコンセプトは「世の中のおじさんあるあるを図鑑にする」である。実はこれ、自分の人生においてはまさに大発見であった。それまでは自分勝手なおじさんたちに苦しめられてきたが、今では「おじさんによるストレスをネタにしてしまえばOK」と思えるようになったからだ。今回はその発見に至るまでのエピソードを書こうと思う。
2023年の秋頃、とある業務の責任者の研修があり、うちの会社からは自分と後輩の2人が行くことになった。座学+実技を2日がかりで行う研修で、100人近くは集まっていたと思う。工業系大企業の本拠地で開催され、様々な企業からおじさんたちが集まっていた。1日目は座学。パワーポイントと教科書を用いて久しぶりのお勉強の時間だった。
研修が始まった途端、トラブルが起きた。講師のパソコンがフリーズしてパワーポイントが動かない。ブルースクリーンが繰り返され復旧の目処も立たないようだった。
「仕方ないので教科書だけでやりましょう。」
講師がそう告げ授業がスタート。これが退屈で仕方がなかった。教科書を読むだけ講師の声はまるでお経のようで、その場の全員の眠気ポイントを急激に増加させていった。
自分も必死に眠気に抗っていると、何やら音が聞こえる。
「ふぅ。」
「あ”ぁ”、、、。」
「ズズッ。」
「ツシー。」
「ゲフン。」
すべて一人のおじさんが発していた音だった。(雑音の多いおじさんだな。こういう人いるよな~。)と思い、最初は気にしないようにしていた。だが、なんかとても気になる。
とそのとき、自分の後ろからも音がした。
「ぷひー。」
「ぷひー。」
「ぷひー。」
「グゴゴゴゴ」
明らかにいびきだった。堂々としたおじさんらしい漢のいびきだ。音に敏感な自分はもう気になって授業どころではない。結局、午前中は雑音おじさんのせいでまったく集中できないまま終わってしまった。
昼休憩は後輩と「寝てるやついたよな」なんて話ながら過ごし、午後の授業が始まった。眠気との戦いになるだろうと思いながら望んだが、ここで新たな雑音おじさんが参戦することになる。
「んっ・・・ゲフゥ。」
「う・・・ゲフゥ。」
「ヒャック!」
「ヒック!」
「・・・ゲフッ」
ゲップとヒャックリの鮮やかなコンビネーション!
(食い過ぎなんだよおっさん!!)
とツッコミを入れたかったが、すかさず彼は謎の音を出し始めた。
「キュッち」
「ぷぎゅ」
「キュッち」
「シーハー」
「シーハー」
おそらく歯に挟まった食べかすをどうにかしているんだろう。思いがけない雑音に自分の心は動揺を隠せなかった。
そこへ午前中に聞いた音が重なる。
「ふぅ。」
「ズズッ。」
おいおい。まさか。
「ぷひー。」
「グゴゴゴゴ」
ああ、なんということだろう。雑音おじさんの夢のコラボが始まってしまった。奇跡とも言えるタイミングだが、狭いホールにおじさんを100人も詰め込むとこういうことが起こるのだろう。
もはや講師のお教はまったく耳に入ってこなかった。
仕方がないのでおじさんの絵を描いたり、周りのおじさんを観察して過ごしてみた。これが楽しかった。
不思議と迷惑おじさんたちへのイライラは止まり、いつの間にか特徴やカテゴリーを書く手が進む。
過去の記憶にさかのぼりおじさんたちとのイヤな思い出に思いを馳せる。
僕の頭の中のおじさんたちは100人どころではなくなった。いや絵面きったねえな!
こうして偶然発見された趣味が当ブログ「おじさん図鑑」である。今では職場も自分にとってはネタ帳になった。
さて、様々なおじさんたちに阻まれた授業であったが、無事終わりを告げた。後輩に「夕飯でも行くか」と声をかけようとしたら「では自分はこれで」と颯爽と帰られて悲しかった。アニメイトとパチンコに行くらしい。なんだあいつは。
ふてくされてトボトボ歩いていると、雨上がりの心地よい風が吹き抜けた。虫の声が聴こえる。とても清々しく爽やかな空気の中、日中に出会ったおじさんたちのことを考えてみた。
「虫の方がまだいい音出すよな。。。」
今週のお題「大発見」